courts métrages, jean-pierre jeunet

MEMO
記録ジャン=ピエール・ジュネ氏の短編作品Courts Métrages):『L’Évasion(脱出)』(1978年)/ 『Le Manège(邦題『回転木馬』)』(1980年)/ 『Le Bunker de la dernière rafale(邦題『最後の突風の砦』)』(1981年)/ 『Pas de repos pour Billy Brakko(邦題『ビリー・ブラッコに休息なし』)』(1984年)/ 『Foutaises(邦題『僕の好きなこと、嫌いなこと』)』(1989年)/『Deux Escargots s’en vont (カタツムリ2人が出かける)』(2016年)
COURTS MÉTRAGES

Deux Escargots s’en vont

今年2017年9月から、『キャロ/ジュネ』展 が開催されています。
それは、ジュネ氏の本作に登場した数々のキャラや、今までの「キャロ/ ジュネ」作品の博物にまつわる mono/モノ たちの博覧空間です。

この美術館側からあった企画のために、映画に使われた脚本や設定資料、小道具や写真、衣装、ストップ・アニメーション用の人形やセットなどなど、2年半かけてかき集めたと言います。また、両氏は収集癖のようなものはないとコメントしていて、ここまで展示品を集めるのは大変だったでしょう。その品物の数々も保存状態が疑問、少し傷んで見えますね。

場所は、「素朴派 Naïve Art」と言われる絵画を収蔵する、フランス・パリ市にあるアート・ナイーフ マックス・フルニー美術館 Musee d’Art Naif Max Fourny です。あの『アメリ』の舞台になったモンマルトルの丘からすぐ下ったほど近い、同じ18区にあります。来年2018年7月31日まで開催。

さて、タイトルの短編作品は3分間。ロメ・セグ Romain Segaud***01 氏との共作。フランスで歌い継がれるジャック・プレヴェール Jacques Prévert 氏の歌詞を物語にして、彫刻家のジュファン・ドゥ・ヴィリエ Jephan de Villiers 氏による造形キャラ達が登場します。

原作の歌詞タイトルは Deux escargots s’en vont à l’enterrement***02(2人のカタツムリが葬儀に行く).」です。誰の葬儀なのか?フランスの子ども達が聞いたであろう「みんなの歌」で、とても面白いです。しかし、その歌詞で歌われている内容とこれが書かれた時代背景を知るとまた違ったものに理解できます。プレヴェール氏についてはまた別の記事で触れるときがあると思います。

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L’Évasion

ストップ・モーション・アニメーション第1作目。
受刑者が脱獄を図るため出口を求めて毎晩に地下道を彷徨う物語。看守達が威圧的でモノクロの映像に恐ろしさが際立っています。しかものっぺりとして粘土細工のようなキャラが悲哀感たっぷりです。

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Le Manège

これも第1作に続いてストップ・モーション・アニメーション。ホラー作品?
アコーディオンの楽曲とメリー・ゴー・ランド(回転木馬)って妙に合いますね。ゼンマイ式のオルゴールとかも氏の作品ではよく使われます。

ちょっと内容】雨が降り、濡れる石畳の街路を低空でカメラが舐めながら、日本のノロ人形のような、粘土でこしらえたような子供たちをとらえます。どこからかゾロゾロと。その様子にネズミが大勢逃げ出します。

低空で移動するカメラが闇の中で浮かび回転しているメーリーゴーランドを映します。そこへ子供達が各自で木馬に乗って遊び始めます。

料金所のボックスらしき所から、ザンバラ髪の男が不気味な笑みを浮かべ子供達を見つめています。そして、何か赤い猫じゃらしのようなものを紐を引っ張って操作します。木馬で回転しながら子供達は上からつる下がり、上下するその赤いフサをつかもうとしますがうまくいきません。

一人がそれを掴み取ってしまうと楽しそうだった音楽が急に止み、先ほどの男が登場、指で男の子をこっちへ来いと呼びます・・・(怖)。恐る恐る近ずく子どもに、男はメリーゴーランドの下に何かあるのか、マンホールのような重たげな扉を開けてさらにこっちへ近く来るよう手招き何かを見せようとします。そこには、大人たちが、奴隷のように大きな木馬の歯車を回しているのです。多分この囚われの奴隷たちは、彼ら子どもたちの両親かもしれません。

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Le Bunker de la dernière rafale

未来の戦争状況での一つの寓話。

【ちょっと内容】シェルターのような要塞内部で、電子音とサイレンがけたたましく鳴り響いていて、姿の見えない敵と、いつ襲ってくるかわからない攻撃に備えている密室の軍司令部。

状況もそうだし、押し込められた空間もとにかく息苦しい。みんな頭髪がなく、ガスマスクを装着するもの、伝令を電信で送るもの、義足・義手を管理するもの、エネルギー機関内部で労働するもの、異様な人間ばかりいる中で、エネルギーメーターが次第に低下していく。混乱する部隊。「スケープゴート」として人体実験(エネルギー供給のため)に供される仲間。一部隊が外では戦車らしき乗り物に乗り索敵、塔にこもる敵のスナイパー(多分、味方)を毒ガスで殺害し、要塞に帰還するが、基地の内部、そこでは皆がみんな・・・ 殺戮の現場と化していた(怖)。

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Pas de repos pour Billy Brakko

「冬は秋をいかに殺し到来するのか?」

ちょっと内容】モノローグ。ビリーの短かな生涯を、ジュネ特有の詩的な表現、洞察で語っていく。物語は、新聞の見出しが自身の死を報じている。偽りのIDによる分身(諜報員)である自分の死。

「祖国は裏切れない」と、逃げ惑いながら街の灯りに喚起されるイメージ。そのイメージは、『2001年宇宙の旅』や『イレイザー・ヘッド』、『ポパイ』etc etc  様々なビリー(ジュネ氏)が好きだという映画監督の作品で物語はつながれていき、最後に15番ファルカオに決勝ゴールを決められる。

そのコラージュと共にビリーの生涯も終えるが、ETやドナルドダックの導きで、ベティ・ブーブに登場する犬のビンボらコミックの世界と共に船で一緒に旅立っていく。だいたいこんな感じ・・・(失礼)。

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Foutaises

題名は「小さなお話」ぐらいの意味、多分。この短編が他の4作品の中では一番面白いですね。邦題(英題も同じ)のように、好きなもの、嫌いなものをドミニク・ピノン氏が全編にわたりお話してくれます。

ちょっと内容
Oh j’aime pas les étalages des boucheries, beh !(おおっ、肉屋の陳列棚が嫌いだ。オェ!)

Non moi c’que j’aime c’est heu… J’sais pas… Ah si tiens par exemple, un truc que j’aime : ouvrir un livre plusieurs mois après les vacances et puis r’trouver du sable entre les pages. Ouais !
(何が好きじゃないって・・・ 分からないなぁ・・・ ああぁ、例えばだ、休暇の数ヶ月後に本を開き、ページの間に砂を見つけるのが好き。やいっ!)

「お皿にのった卵の黄身を一口に食べる事が好き」、「鼻毛を抜くのが嫌い」、「無邪気な子どもたちが好き」・・・などなど、延々と好きなもの、嫌いなものを話していくのですが、例えば、鼻毛を抜くときも、叫びながらそれがド派手にビルの破壊にもつながり、無邪気な子どもが好きだというその場面では、壁に落書きされたポコチンめがけて女の子がボール遊びをしている etc・・・ 映像、つまりピノン氏のフォーマンスを見ながらだと可笑しくてたまりません。

SUPPLEMENTS
01 Romain Segaud:
日本での表記がまだ未確認(「ロメン・セグド」。または「ロメ・セグ」が音的には近い)。クリステル・プジョワーズ Christelle Pougeoise 氏との共作・短編『Tim Tom』(2002年)や、ジョー・ダッサン Joe Dassin 氏の曲をプロモーションした『Bip Bip』(2004年)がある。『Tim Tom』は国際アニメーション「イマジナ・フェスティバル」の受賞作。音楽はジャンゴこと、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)氏の演奏曲が流れます。


SUPPLEMENTS
02 Deux escargots s’en vont à l’enterrement:

2人のエスカルゴ(カタツムリ)が連れ立って枯葉のお葬式に行くお話です。

Deux escargots sen vont à lenterrement, by Cora Vaucarire

A l’enterrement d’une feuille morte/ Deux escargots s’en vont/ Ils ont la coquille noire/ Du crêpe autour des cornes./ Ils s’en vont dans le soir/ Un très beau soir d’automne/ Hélas quand ils arrivent/ C’est déjà le printemps/ Les feuilles qui étaient mortes/ Sont toutes ressuscitées/ Et les deux escargots/ Sont très désappointés/ Mais voilà le soleil/ Le soleil qui leur dit/ Prenez prenez la peine/ La peine de vous asseoir/Prenez un verre de bière/ Si le coeur vous en dit/ Prenez si ça vous plaît

L’autocar pour Paris/ Il partira ce soir/ Vous verrez du pays/ Mais ne prenez pas le deuil/ C’est moi qui vous le dis/ ça noircit le blanc de l’oeil/ Et puis ça enlaidit/ Les histoires de cercueils/ C’est triste et pas joli/ Reprenez vos couleurs/ Les couleurs de la vie

Alors toutes les bêtes/ Les arbres et les plantes/ Se mettent à chanter/ A chanter à tue-tête/ La vraie chanson vivante/ La chanson de l’été/ Et tout le monde de boire/ Tout le monde de trinquer/ C’est un très joli soir/ Un joli soir d’été/ Et les deux escargots/ S’en retournent chez eux/ Ils s’en vont très émus/ Ils s’en vont très heureux/ Comme ils ont beaucoup bu/ Ils titubent un p’tit peu/ Mais là-haut dans le ciel/ La lune veille sur eux >>>> play music

2人のカタツムリがお葬式に出かける(日本語訳)』

(葉っぱたちが死んだお葬式に/ 2人のかたつむりが出かけて行く/ 黒い殻をもち/ ツノに黒いヴェールをかぶせて/ 夕方に出かける/ 秋のとても美しい晩/ 残念にも彼らが到着すると/ 再びもう春が/ 死んだ葉っぱたち全てが息を吹き返し/ 2人のカタツムリはとてもがっかり/ でもここには太陽があって/ その太陽がいうには/ 困っていてもここにお座んなさい/ ビールのグラスを手に持って/ あなた達の心が望むなら/ それをお飲みなさい/ 心が望むなら

パリへ行くバスが/ 今夜出発する/ あなた達はそこで祖国を目にするでしょう/ でも喪に服してはいけません/ いい事、/ 眼の白い色を黒ずませる/ そしてそれは醜い/ 棺の山々の物語/ 悲しくって素敵ではないの/ あなたの色を取り戻して/ 人生の色を

全ての動物に/ 木々に草花/ 歌いなさい/ 大きな声で/ 人生を奏でる真実の歌を/ 夏の歌/ 全ての世界が、誰もみんなが酔い/ それはとても素敵な晩/ 素敵な夏の晩/ そして2人のカタツムリは故郷に帰って行く/ 心揺さぶられて/ 幸せを感じながら/ まるでたくさん酔いしれているように/ ちょっとよろめきながら/ でも空高く/ 月が彼らを見守っている)